リンパを流すして免疫力アップ

リンパの流れを良くして体内の老廃物を除去する「リンパマッサージ」が人気です。しかし、医学的に疑問が残る方法をリンパマッサージと称し、料金をとる業者もあります。
そこで、日本リンパ学会理事長で信州大学名誉教授の大橋俊夫さんにリンパの基礎を学び、正しいリンパ液の流し方を紹介すます。
リンパとは通常、リンパ管と、その中のリンパ液を指します。私たちの体内には、血管網とは別のリンパ網が張り巡らされています。
食事で得た栄養や水分は、血管を流れて毛細血管の隙間からにじみ出し、細胞に供給されます。その後、残った水分や細胞から出た老廃物は毛細血管に戻り回収されます。その際、毛細血管だけでは回収しきれない水分や老廃物の回収にあたるのが、リンパ管の主な役割と考えられてきました。
ところが近年、リンパにはもっと重要な役割があることがわかりました。免疫力に密接に関係していたのです。
大橋さんはいいます。
「リンパ管の関所であるリンパ節には、ウイルスをやっつけるNK細胞などが眠っています。こうした細胞は酸素に弱いので、血管のように酸素が豊富な所ではなく、リンパ節で息を潜めています。外敵が侵入すると目覚め、リンパ管を流れて左鎖骨の下で血管に合流し、総攻撃を仕掛けます」
リンパを流すと免疫力アップにつながります。
大橋さんが勧めるのが、「就寝前に横になった状態で、腹式呼吸をゆっくり5回繰り返します」。腹部に滞留しがちなリンパ液がスムーズに流れ、免疫細胞が血管に流れ込みやすくなるといいます。