アスペルギルス菌には注意が必要です

カビの中で病原性を持ち、人に感染するのはごく一部です。すぐ思い浮かぶのは、水虫。白癬菌という糸状のカビが皮膚に付着し、足の指の間などに感染すると水虫、股間部だとインキンタムシと呼ばれ、かゆみや痛みに悩まされます。
空気中に普通に存在し、吸い込んで肺に感染すると危険なのが、アスペルギルスという菌です。300種類以上あるとされ、もともと土の中にいます。みそやしょうゆ、日本酒の製造に利用されるコウジカビも、その仲間です。ごく一部は感染力が強く、人に病気をもたらします。
主な症状は、せきやたんが出て、微熱が続き、息苦しさが増します。たんに血が混じることも多いです。肺炎と間違われやすいですが、抗生物質で治らなければ、アスペルギルス症を疑います。初期段階で見つかれば、肺の一部を切除して完治が望めますが、薬では菌を完全に取り除くのは難しいです。
健康な人にも感染の可能性はあります。高齢や生活習慣病で抵抗力が落ちると、リスクが高まります。千葉大学真菌医学研究センターの亀井克彦さんは「結核を患うなどした後、肺にできた空洞に菌が繁殖するケースもあります。菌が肺にがっちり食い込み、細胞を壊しながら増えていく」と話します。
アスペルギルスは、適度な湿気がある押し入れやたんすの後ろなどを好みます。内部が結露するエアコンは、ほこりもたまりやすく、絶好のすみかになります。病院内では、鉢植えや観葉植物から見つかることもあります。注意が必要です