カビの病気予防は水回りと換気の掃除を

梅雨は、カビが繁殖するのに絶好の季節です。気温が上がり、ジメジメして、家の中の空気もよどみやすいです。カビが原因の病気で、6~10月頃に増えるのが、夏型過敏性肺炎です。
トリコスポロンという菌を吸い込むことで起こります。アレルギー性で、空せきや発熱などを繰り返し、だんだん息苦しくなります。旅行などで家を離れると症状が軽くなったり、毎年夏を中心に症状が表れたりする人は、この病気の可能性があります。風邪が治りにくいと思ったら、呼吸器内科などで原因 を調べてもらった方がいいです。
治療法は、カビからの隔離に加え、ステロイド剤で炎症を鎮めるのが一般的です。慢性化すると、肺が線維化して硬くなり、呼吸ができなくなります。一度壊れた肺の組織は元に戻らないです。肺に十分な酸素を送るための在宅酸素療法や、重症化すると、肺移植が必要になることもあります。
毎年新たに500人ほどの患者が出るとされます。千葉大学真菌医学研究センターの亀井克彦さんは「しつこい夏風邪や気管支炎と診断され、知ない間に病状が進んでしまうことがあります。もっと多くの患者が埋もれていると思う」と話します。患者に中年女性が目立つのは、この菌が好む台所や風呂場などで、家事をする機会が多いためとみられます。
予防の基本は発生源を断つことです。「命にかかわるので、ハウスクリーニングをしても症状が収まらなければ、引っ越しを勧めます」と亀井さん。水回りを中心に掃除や換気をこまめに行い、清潔と乾燥を保つことが大切です。