熱中症予防は、こまめな水分と冷房を

熱中症の患者を年齢別にみると、10代が圧倒的に多く、ほとんどが運動中に発症しています。大半は軽症で、年齢も若いために回復も早いです。重症化を警戒すべき年齢層は、幼児と高齢者です。
幼児は体が十分に発達していないため、体温調節が上手にできません。
高齢者は老化で、汗をかきにくく、体温が上昇しやすいです。気温にも鈍感で暑さも感じにくくなっています。さらに、体の水分量も若者に比べて少ない上、脱水症状を示す体のサインである喉の渇きも感じにくいです。
熱中症の死者の約8割は70歳以上で、高齢になるほど重症化しやすいです。日本救急医学会熱中症に関する委員会の委員長を務めた帝京大学教授の三宅康史さんは「高齢者の熱中症は、日常生活で徐々に進行します。喉が渇かなくても、こまめに水分補給をしてほしい」と指摘します。
高齢者は、高血圧や糖尿病といった持病を抱える場合が多く、健康な場合より体調を崩しやすいです。室内だけの生活でも、昼夜気温が高い日が続くと、食欲が落ちて衰弱してしまいます。
エアコンがあっても「電気代がかかる」「扇風機で我慢できる」といった理由で、冷房を控える傾向があります。三宅さんは「本人が大丈夫と言ってもダメ。家族など周囲が気を回して伝えるなどして、こまめにエアコンを使ってほしい」と話します。
高齢者の熱中症を防ぐには、ふだんから運動などで体を動かして汗をかくなど、体温調節の働きを改善させる方法もあります。運動後30分以内に牛乳を飲むと、疲労回復、血液量の増加も期待できるといいます。