笑うという行為が免疫力高める

「笑う門には福来たる」と言われますが、笑いに免疫力を高める効果があることも明らかになっています。
がんや心臓病などの患者を含む18人について、漫才や新喜劇を楽しむ前と後に血液を調べると、7割以上の14人で、免疫力に関係するナチュラルキラー(NK)細胞の働きが高まりました。実験前に基準値以下だった5人は、全員上昇しました。
しかし、面白さや笑いにつながる感覚には、趣味や個人差もあります。そこで注目されているのが「笑いヨガ」です。インド人医師がヨガ講師の妻と共に1995年から始めた健康法です。
目を見開いて思い切り舌を出して笑う「ライオン笑い」など、笑いの体操とヨガの呼吸法を組み合わせ、息を吐ききりながらひたすら笑います。ユーモアや冗談は不要です。
日本笑いヨガ協会代表の高田佳子さんは「大人になると、周囲への遠慮から『笑い』をためらいがち。童心に帰り、なるべく大勢でゲラゲラと笑うことがポイントです」と強調します。
実際に、効果も確認されています。福島県立医科大学教授の大平哲也さんが2009年、49~78歳の男女17人に対し、落語と笑いヨガが免疫に及ぼす効果をそれぞれ探りました。
副腎皮質ホルモンの一種で、ストレスが多いほど増えて免疫力を抑える「コルチゾール」の唾液中の濃度を、落語、笑いヨガをそれぞれ行う前と後で測定。その結果、濃度が低下した人が落語で7割なのに対し、笑いヨガでは9割にのぼり、より効果が大きかったです。
大平さんは「仮に笑いたくなくても、笑うという行為そのものが大切なのではないか」と話します。