乳製品で脳卒中を予防しましょう

牛乳、ヨーグルト、チーズなど、私たちの日常生活に身近な乳製品ですが、脂肪やカロリーを心配する人もいると思います。しかし生活習慣病の予防など健康に役立つ様々な効用が知られています。
発症すると、半身まひなど、要介護状態の最大の原因とされている脳卒中は、乳製品に含まれるカルシウムが、発症や死亡の危険性を減らすことがわかっています。
厚生労働省研究班が、岩手、秋田、長野、沖縄の40歳から59歳までの男女約4万1000人を対象に、カルシウムの摂取量別に5グループに分けて血の塊(血栓)が血管に詰まる「脳梗塞」や、血管が破れて脳内に出血する「脳出血などの発症との関連を調べました。
13年間の追跡調査の結果、1日あたりの総カルシウム摂取量が最も少ないグループ(中央値233ミリ・グラム) の発症危険性を1とすると、最多のグループ(同753ミリ・グラム)は、脳出血0.70倍、脳梗塞は0.72倍で、脳卒中全体では0.70倍に減っていました。
乳製品によるカルシウム摂取量に絞ると、摂取量最多のグループ(同116ミリ・グラム)は、最少のグループ(同0ミリ・グラム)よりも、脳出血は0.64倍、脳梗塞は0.69倍に減り、乳製品によるカルシウム摂取量が多い人の方が、脳卒中の予防効果がより高いことが分かりました。
研究に関わった大阪大学教授(公衆衛生学)の磯博康さんによると、野菜や小魚のカルシウム吸収率が2割程度に対し、乳製品は5割前後と優れていることなどが要因といいいます。
磯さんは「牛乳なら200ミリ・リットル、チーズなら30グラム程度と、毎日無理のない範囲でとり続けることで効果が期待できます」と話します。