1日2.2~2.5リットルの水分補給で熱中症対策を

「高齢者は熱中症になりやすい。水分補給には特に気をつけてほしい」
京都女子大学名誉教授(運動衛生学) の中井誠一さんは、そのように強調します。
熱中症になりやすいのにはいくつか理由があります。1つは暑さに対する感度が低下している点です。若い人は暑くなると、喉の渇きを自然に感じて水分を積極的にとります。
しかし、高齢になると感度が鈍くなり、水分を自ら補給しようとしなくなりがちです。
もう一つは体内の水分量が減っていることです。水分は体重の60 %を占めますが、高齢になると55%に低下します。さらに、体温の調節機能が衰え、体にこもった熱を外に逃しにくくなります。
総務省消防庁によると、2016年(5~9月)に熱中症で救急搬送された人は約5万人で、そのうち高齢者は約2万5000人と5割以上を占めていました。
中井さんは1日2.2~2.5リットルの水分をとることを勧めています。尿や汗などでそれだけ体外に出るからです。
例えば2.5リットル必要だとすると次のようにしたいです。まず、飲料として飲む分が1.2リットル。起床後に飲む水、食事の時のお茶、おやつの時のコーヒーなどです。3度の食事でとるご飯やおかずなどの食べ物にも水分が含まれていて、ここから1リットル。残りの0.3リットルは、体内の栄養素がエネルギーに変わる時に出る「代謝水」が、この分になります。
中井さんは「これは最低限、必要な量。猛暑でたくさん汗をかいたら、スポーツドリンクなどをさらに飲んでほしい」と話しています。